概要
回路エンジニアにとって快適なパソコンを検討してみました。
今回は、Core-i7 4770を搭載する自作パソコンと、Core-i5 6200Uを搭載するLenovoのノートパソコンThinkPadE560の性能を調べてみました。
調べた項目としては、CrystalMark、回路シミュレータTian ver10のシミュレーション時間、波形表示時間、
そしてフリーのプリント基板用パターンエディタソフトPCBEのスクロール時間です。
評価はすべてWindows10で行っています。
スペック
2016年10月時点での自作パソコンのスペック
部品名 |
メーカー |
機種・モデル名 |
スペック |
台数 |
CPU |
intel |
Core i7 4770 |
4コア8スレッド 3.4GHz |
1 |
マザーボード |
ASUS |
SABERTOOTH Z87 |
PCI express 3.0 x8 x2基, SATA3, eSATA3, USB3.0 |
1 |
メモリ |
G.SKILL |
Ares F3-2400C11D-16GAB |
PC19200 DDR3 2400MHz 8GB |
4 |
ケース |
LIAN LI |
PC-A70A |
フルタワー |
1 |
電源 |
ANTEC |
EarthWatts EA-650 Platinum |
650W, 最大効率93% |
1 |
SSD |
crucial |
CT256MX100SSD1 |
SATA3対応, 256GB |
6 |
HDD |
東芝 |
MD04ACA300 |
SATA3対応, 3TB |
2 |
RAIDカード |
Adaptec |
ASR-8805 SGL |
SATA3, 最大8台, キャッシュ1GB |
1 |
LenovoノートパソコンThinkPadE560のスペック
部品名 |
メーカー |
機種・モデル名 |
スペック |
台数 |
CPU |
intel |
Core i5-6200U |
2コア4スレッド 2.2GHz |
1 |
マザーボード |
純正 |
不明 |
不明 |
1 |
メモリ |
純正 |
不明 |
PC12800 DDR3 1600MHz 8GB |
2 |
SSD |
crucial |
CT1000MX200SSD1 |
SATA3対応, 1TB |
1 |
CrystalMark
まずは、一般的な性能というとで、CrystalMarkの結果を載せます。
自作パソコン(HDGraphic4600) CrystalMark 2004R3ベンチマーク結果
CrystalMark | 397894 |
ALU | 89140 |
Fibonacci | 33757 |
Napierian | 17416 |
Eratosthenes | 15042 |
QuickSort | 22903 |
FPU | 77766 |
MikoFPU | 7607 |
RandMeanSS | 41570 |
FFT | 16168 |
Mandelbrot | 12399 |
MEM | 95527 |
Read | 33056.16 MB/s (33056) |
Write | 18300.80 MB/s (18300) |
Read/Write | 19474.34 MB/s (19474) |
Cache | 246753.56 MB/s (24675) |
HDD | 88335 |
Read | 2935.90 MB/s (20179) |
Write | 2023.87 MB/s (15619) |
RandomRead512K | 2356.55 MB/s (17282) |
RandomWrite512K | 1879.43 MB/s (14897) |
RandomRead 64K | 1018.12 MB/s (10590) |
RandomWrite 64K | 853.75 MB/s (9768) |
GDI | 20656 |
Text | 7309 |
Square | 2280 |
Circle | 5876 |
BitBlt | 5191 |
D2D | 7467 |
Sprite 10 | 258.79 FPS (25) |
Sprite 100 | 238.90 FPS (238) |
Sprite 500 | 175.52 FPS (877) |
Sprite 1000 | 135.31 FPS (1353) |
Sprite 5000 | 46.88 FPS (2344) |
Sprite 10000 | 26.30 FPS (2630) |
OGL | 19003 |
Scene 1 | 12228 |
Lines (x1000) | (2325192) |
Scene 2 CPU | (256) |
Scene 2 Score | 6775 |
Polygons (x1000) | (381089) |
Scene 2 CPU | (128) |
自作パソコン(GeForec1060) CrystalMark 2004R3ベンチマーク結果
CrystalMark | 440706 |
ALU | 82409 |
Fibonacci | 28189 |
Napierian | 17351 |
Eratosthenes | 13656 |
QuickSort | 23191 |
FPU | 76147 |
MikoFPU | 7586 |
RandMeanSS | 41608 |
FFT | 15644 |
Mandelbrot | 11287 |
MEM | 91619 |
Read | 30721.22 MB/s (30721) |
Write | 18982.54 MB/s (18982) |
Read/Write | 19843.16 MB/s (19843) |
Cache | 220517.36 MB/s (22051) |
HDD | 110595 |
Read | 3571.83 MB/s (23359) |
Write | 3560.94 MB/s (23304) |
RandomRead512K | 2962.90 MB/s (20314) |
RandomWrite512K | 2985.08 MB/s (20425) |
RandomRead 64K | 1198.16 MB/s (11490) |
RandomWrite 64K | 1240.77 MB/s (11703) |
GDI | 20345 |
Text | 7556 |
Square | 2197 |
Circle | 5444 |
BitBlt | 5148 |
D2D | 16475 |
Sprite 10 | 199.24 FPS (19) |
Sprite 100 | 195.04 FPS (195) |
Sprite 500 | 182.16 FPS (910) |
Sprite 1000 | 173.62 FPS (1736) |
Sprite 5000 | 114.79 FPS (5739) |
Sprite 10000 | 78.76 FPS (7876) |
OGL | 43116 |
Scene 1 | 15126 |
Lines (x1000) | (3200355) |
Scene 2 CPU | (512) |
Scene 2 Score | 27990 |
Polygons (x1000) | (2170056) |
Scene 2 CPU | (1024) |
ノートパソコン(ThinkPadE560) CrystalMark 2004R3ベンチマーク結果
CrystalMark | 207383 |
ALU | 43435 |
Fibonacci | 13808 |
Napierian | 11209 |
Eratosthenes | 7012 |
QuickSort | 11384 |
FPU | 44271 |
MikoFPU | 4561 |
RandMeanSS | 23977 |
FFT | 8433 |
Mandelbrot | 7278 |
MEM | 50084 |
Read | 17596.94 MB/s (17596) |
Write | 10697.68 MB/s (10697) |
Read/Write | 10714.00 MB/s (10714) |
Cache | 110555.68 MB/s (11055) |
HDD | 36422 |
Read | 411.50 MB/s (7557) |
Write | 379.92 MB/s (7399) |
RandomRead512K | 244.00 MB/s (6440) |
RandomWrite512K | 353.50 MB/s (7267) |
RandomRead 64K | 78.62 MB/s (3144) |
RandomWrite 64K | 130.77 MB/s (4615) |
GDI | 13312 |
Text | 5029 |
Square | 1336 |
Circle | 3747 |
BitBlt | 3200 |
D2D | 4266 |
Sprite 10 | 171.89 FPS (17) |
Sprite 100 | 152.47 FPS (152) |
Sprite 500 | 106.11 FPS (530) |
Sprite 1000 | 77.53 FPS (775) |
Sprite 5000 | 26.46 FPS (1323) |
Sprite 10000 | 14.69 FPS (1469) |
OGL | 15593 |
Scene 1 | 9625 |
Lines (x1000) | (1832688) |
Scene 2 CPU | (256) |
Scene 2 Score | 5968 |
Polygons (x1000) | (336619) |
Scene 2 CPU | (128) |
自作パソコンは40万点、Lenovoノートパソコンは20万点程度です。
自作パソコンはグラフィックカードがあってもなくてもGDIの性能は変わらず、
DirectXとOpenGLは倍程度の差にとどまっています。
尚、以前メモリを高速化(1600MHz→2400MHz)したときは、GDIの性能も向上しました。
回路シミュレータTina ver10パフォーマンス
こ のテストは、私が使っている回路シミュレータ、Tina ver10 Classic Editionで、
50ノード程度の回路シミュレーションのトランジェント解析をするのにかかった時間を計測しました。
計測方法は、タスクマネージャで、シミュレーションが終了した時点でのCPU時間から、アプリを起動しただけの状態のCPU時間を引き、
同時実行スレッド数で割って、処理時間を算出し、比較するというものです。
GPUの処理は関係ないことから、グラフィックカード有無別は計測しませんでした。
ver9、10では、4コア8スレッドのCPUの場合4スレッド同時実行、2コア4スレッドのCPUの場合2スレッド同時実行します。
また、ワットチェッカーで消費電力もモニタしました。
PC | 自作PC | Lenovoノートパソコン | Lenovoノートパソコン |
CPU | Core i7-4770 | Core i5-6200U | Core i5-6200U |
GPU | HD Graphic 4600 | HD Graphic 520 | HD Graphic 520 |
冷却台 | - | オフ | オン |
CPU時間 | 27:50 | 24:20 | 20:59 |
同時実行スレッド数 | 4 | 2 | 2 |
処理時間 | 6:57 | 12:10 | 10:30 |
消費電力 | 230W | 29W | 42W |
自作PCの方は、7分で終わったのに対し、
Lenovoノートパソコンは冷却台のファンをオフの場合で12分、オンの場合で10分30秒でした。
Lenovoノートパソコンは冷却台のファンのオンオフで10%以上の差が出ました。
そして冷却台でのパフォーマンスアップは、熱を大量に処理できるようになることによるものなので、
消費電力も40%程度上がっています。
ちなみに冷却台の消費電力は、ノートパソコンから供給しているので、冷却台の分の消費電力分も加わっていることにご注意ください。
Lenovoノートパソコンの冷却が十分な状態では、自作パソコンの1.5倍ほどの時間でシミュレーションが終わっていることが分かります。
消費電力が約6分の1なので、この程度の差で済んでいることは素晴らしいです。
この結果から、このLenovoノートパソコンで、研究開発環境を持ち歩くことができるようになると言えそうです。
次に、波形のスクロールパフォーマンスを評価しました。
この評価は、50ノード程度の回路シミュレーションのトランジェント解析シミュレーション結果の波形を、
スクロールするのにかかる時間を計測しました。
合計14回スクロールします。
計測方法は、タスクマネージャで、スクロールが終了した時点でのCPU時間から、アプリを起動しただけの状態のCPU時間を引き、
同時実行スレッド数で割って、処理時間を算出し、比較するというものです。
短い時間の処理なので、冷却台のファンの有無別は計測しませんでした。
シミュレーショ波形表示スクロール
PC | 自作PC | 自作PC | Lenovoノートパソコン |
CPU | Core i7-4770 | Core i7-4770 | Core i5-6200U |
GPU | HD Graphic 4600 | GeForce1060 | HD Graphic 520 |
CPU時間 | 0:12 | 0:12 | 0:12 |
同時実行スレッド数 | 4 | 4 | 2 |
処理時間 | 0:03 | 0:03 | 0:06 |
結果は、CPU時間はすべて同じで、処理時間はLenovoノートパソコンが自作パソコンの2倍かかっています。
また、グラフィックカードの有無では差が生じませんでした。
これは、GDIを使っているためと思われます。
回路シミュレーションのパフォーマンスは、グラフィックカードに関係ないことが分かります。
そのため、高性能なグラフィックカードを買っても回路シミュレーションは快適になりません。
回路シミュレーションのパフォーマンスは、CPUとメモリで決まると言えそうです。
また、このLenovoノートパソコンは、研究開発に適すると言えそうです。
実際使ってみて不快ではないです。
この評価は、300KBほどのファイルサイズの、180mm×180mmの2層プリント基板用パターンデータを60回スクロールするのに
かかった時間を計測しました。
スクロールはキーボードの上下キーで行いました。
上キーを5回押し、下キーを5回押すのを、6回繰り返しました。
シングルスレッドアプリケーションなので、CPU時間をそのまま処理時間としました。
PC | 自作PC | 自作PC | Lenovoノートパソコン |
CPU | Core i7-4770 | Core i7-4770 | Core i5-6200U |
GPU | HD Graphic 4600 | GeForce1060 | HD Graphic 520 |
処理時間 | 0:08 | 0:08 | 0:09 |
結果は、Lenovoノートパソコンが自作パソコンでほぼ同じで、グラフィックカードの有無でも差が生じませんでした。
これも、GDIを使っているためと思われます。
プリント基板用パターンエディタPCBEのパフォーマンスは、グラフィックカードに関係ないことが分かります。
そのため、高性能なグラフィックカードを買ってもプリント基板用パターンエディタPCBEは快適になりません。
また、このLenovoノートパソコンは、研究開発に適すると言えそうです。
実際使ってみて不快ではないです。
軽負荷ゲーム大航海時代オンラインベンチマーク
回路エンジニアとは関係ありませんが、軽めのオンライン3Dゲームのベンチマークとして、
大航海時代オンラインベンチマークを実行してみました。
PC | 自作PC | 自作PC | Lenovoノートパソコン | Lenovoノートパソコン |
CPU | Core i7-4770 | Core i7-4770 | Core i5-6200U | Core i5-6200U |
GPU | HD Graphic 4600 | GeForce1060 | HD Graphic 520 | HD Graphic 520 |
スコア | 3030 | 4300 | 1480 | 1490 |
消費電力 | 230W | 250W | 40W | 51W |
結果としてLenovoノートパソコンのスコアは、自作パソコンの半分程度でした。
また、グラフィックカードの有無で、差は生じたものの30%程度でした。
実際プレイするとこの程度のゲームでは計測したどの条件でも快適でした。
結論
このLenovoノートパソコンは、回路エンジニアの研究開発に適すると言えそうです。
また、回路エンジニアの研究開発用パフォーマンスは、CPUとメモリで決まり、
グラフィックカードは関係ないと言えそうです。
これは今回評価したアプリがDirectXやOpenGLを使っていないためで、
もっと高価あるいは有料なアプリでは、DirectXやOpenGLを使うものもあるかもしれず、
その場合グラフィックカードが高性能だと快適さに差が生じる可能性があります。
独立電源システムと過充電防止回路のChariot Lab.のページ-トップに戻る