1.独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の概要
独立電源システム向け過充電防止回路のご紹介
で紹介させていただいておりますが、同じ内容を紹介いたします。
当方では、この度、非切断時自己消費電流5uA(マイクロアンペア)の独立電源システム向け過充電防止回路を
開発いたしました。
しかも、満充電により太陽電池と蓄電池が切断された場合、
7つの発光ダイオードが明るく点灯してお知らせします。
切断時は、発光ダイオードの点灯のため、10mA程度の自己消費電流を消費しますが、
太陽電池と蓄電池が切断され、
使い道のなくなった電流が消費されているに過ぎないので、
実質的な消費電流とみなす必要はございません。
充電電流と充電する蓄電池の最大電圧の関係の実測例は以下のとおりです。
充電電流 (A) |
充電する蓄電池の最大電圧 (V) |
0.27 |
13.3 |
0.60 |
13.3 |
1.31 |
13.2 |
2.15 |
13.1 |
2.58 |
13.0 |
主な仕様は以下のとおりです。
システムの電圧 |
12 V |
最大充電電流 |
2.5 A |
太陽電池の最大接続量 |
40 W |
自己消費電流(常温typical) |
3 uA |
切断電圧 |
13.0 - 13.3 V |
2.独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の技術的内容
図1を参照してください。
独立電源システム向け過充電防止回路は、太陽電池と蓄電池の間に挿入される形となります。
図2を参照してください。
この回路は、発電系のプラスマイナス端子間の電圧により
ダイオード群を含む回路部位111に流れる電流が決まります。
ダイオード群を含む回路部位111に流れる電流は、電流が流れ始める電圧付近において、
両端にかかる電圧に対して指数関数的に増大します。
そして、ダイオード群を含む回路部位111に流れる電流を、
PNP型バイポーラトランジスタ114で増幅およびコピーし、
抵抗器113に流して受けることにより、
ダイオード群を含む回路部位111に流れる電流に比例した電圧を抵抗器113の両端に作り出します。
その電圧により決まるノード116の電位によりPMOSトランジスタ115-2が制御されるので、
ダイオード群を含む回路部位111に流れる電流が多くなるほど
PMOSトランジスタ115-2はソースドレイン間の抵抗を上げることになります。
発電系のプラスマイナス端子間の電圧が一定電圧値を超えると
ダイオード群を含む回路部位111に流れる電流が一定値を超え、
ノード116の電位が一定値を超え、
PMOSトランジスタ115はソースドレイン間の抵抗が一定値を超えます。
発電系のプラスおよびマイナスの端子に太陽電池接続した場合などは、
このとき、発電系のプラスマイナス端子間の電圧がまずます上昇し、
PMOSトランジスタ115-2はソースドレイン間の抵抗がますます上昇するという正帰還がかかります。
そのため、発電系のプラスマイナス端子間の電圧は一気に上昇し、
PMOSトランジスタ115-2は完全にオフになります。
こうなることにより、発電系のプラスマイナス端子間の電圧が
一定電圧値を超えるとPMOSトランジスタ115-2がオフし、
発電系を蓄電系と切り離すことにより、
蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧を一定電圧値以上に上げない機能が実現します。
低価格かつ低消費電流となる本質的理由は、
ダイオードは電流が流れ始める付近の両端の電圧において、
両端にかかる電圧に対して指数関数的に電流量が増大することを用いているため、複雑な増幅回路が不要で、
また、直列接続されるダイオードの個数や各ダイオードの閾値によりダイオードに流れる電流を調整し、
少なく抑えることができることによります。
尚、発電系(太陽電池)と蓄電系(蓄電池)を切り離すかどうかを決める一定電圧値は、
直列接続されるダイオードの個数や各ダイオードの閾値により調整することができます。

図1

図2
3.一般的なチャージコントローラと当方で開発した独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の消費電流の比較
例えば、チャージコントローラが、充電時8mA、非充電時2mAの電流を消費するとします。
ここで、1日に8時間発電し、発電時の平均発電電流が20mAとした場合、
1日の発電電流総量は160mAhとなります。
しかし、このうち96mAh(ミリアンペア・アワー)は充放電コントローラ自身によって消費されてしまいます。
蓄電池が1日に20mAhの電流を自己放電してしまうと仮定すると、
1日当たり44mAhしか利用できないことになります。
一方、当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路の消費電流は、非切断時自己消費電流5uA(マイクロアンペア)です。
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路を用いるということ以外同じと仮定すると、
1日あたり139.88mAhが使用できる計算になります。
4.独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の用途の例
例えば、太陽電池と独立電源システム向け過充電防止回路にて、
長期間自動車に乗らないときにバッテリーがあがらないようにするための製品に用いることができます。
また、送電コストの大きい山間部における夜間に点灯する道路標識、案内標識、看板向けの電源システムに用いることができます。
5.自動車用バッテリー上がり防止システムの提案
独立電源システム向け過充電防止回路のご紹介
で紹介させていただいておりますが、同じ内容を紹介いたします。
自動車に搭載された鉛蓄電池に10W~20W程度の太陽電池、逆電流防止ダイオード、アナログ電流計に、
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路を組み合わせて、
長時間自動車に乗らない場合に自動車のバッテリーがあがってしまうことを
防止するシステムを提案いたします。
6.山間部における夜間に点灯する案内標識の提案
50W~100W程度の太陽電池、100Ah程度の鉛蓄電池、逆電流防止ダイオード、
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路、当方で開発した過放電防止回路(後で説明します)を組み合わせて、
夜間に点灯する案内標識を提案いたします。
主に、送電コストの高い山間部に設置することを想定しています。
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路の消費電流は、非切断時自己消費電流5uA(マイクロアンペア)です。
また、当方で開発した過放電防止回路の消費電流は、自己消費電流30uAです。
独立電源システム向け過充電防止回路と過放電防止回路で合計の消費電流は35uAです。
1日で消費される電流量は、0.84mAです。
100Ahの鉛蓄電池の自己放電量は、1日当たり100mAh程度です。
案内標識を点灯させる照明はLEDとして12V系で5Wと仮定します。
消費電流に直すと、電流0.42Aとなります。
1日に12時間点灯することを想定すると、1日で5.04Ah消費します。
装置 |
消費電流 |
1日の稼働時間 |
1日の消費電流量 |
独立電源システム向け過充電防止回路 |
5uA |
24時間 |
120uAh |
過放電防止回路 |
30uA |
24時間 |
720uAh |
鉛蓄電池 |
4.2mA |
24時間 |
100mAh |
LED(案内標識を点灯させる照明) |
0.42A |
12時間 |
5.04Ah |
合計 |
- |
- |
5.141Ah |
1日での消費電流量は約5.141Ahであることがわかります。
太陽電池は、定格出力電力100W、定格電圧17V、定格電流6Aであるとします。
この場合、1日で晴天かつ太陽電池に直角に太陽光が入射する理想的な場合に換算して51分の日照があれば
電流が足りるという計算になります。
また、過充電防止回路と過放電防止回路で消費される電流の割合は、わずか0.016%となります。
7.独立電源システム向け第1世代過充電防止回路を用いた太陽光発電システムの動作
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路を用いた太陽光発電システムでは、
太陽電池に日光が当たり一度満充電を検知して過充電防止機能が作動すると、
たとえ負荷により蓄電池の電力が消費されても、
太陽電池に日光が当たらなくなるまで充電は行われません。
ご注意ください。
一度太陽電池をひっくり返して日光を遮ると、再び満充電になるまで充電します。
特に何もしない場合、夜になり一度日光が当たらなくなり、
翌日に日光が当たり始めると、再び充電を開始します。
8.独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の用途の製造部品代
当方で開発した独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の用途の製造部品と部品代の例を以下に挙げさせていただきます。
部品 |
単価 |
個数 |
費用 |
高輝度青色LED(発光ダイオード) |
40円 |
5つ |
200円 |
高輝度赤色LED(発光ダイオード) |
20円 |
2つ |
40円 |
PMOSFET(スイッチング素子として) |
200円 |
1つ |
200円 |
PNPタイプバイポーラトランジスタ |
10円 |
1つ |
10円 |
カーボン抵抗器 |
1円 |
2つ |
2円 |
4ピン端子台 |
130円 |
1つ |
130円 |
合計 |
- |
- |
582円 |
これ以外に、基板代、製造人件費がかかります。
製造費全体で1000円以下で製造できるものと考えます。
9.独立電源システム向け第1世代過充電防止回路に発光ダイオード(LED)を用いる理由
当方で開発した独立電源システム向け第1世代過充電防止回路には、発光ダイオード(LED)が使用されます。
発光ダイオードを用いた場合では
発電系(太陽電池)と蓄電系(蓄電池)が切り離された状態では発光ダイオードがある程度の明るさで発光するため、
目視により確認することができます。
つまり、満充電になったことを目視により確認できるのです。
例えば、図2(項目2を参照してください。)の回路部位111に3つの青色発光ダイオードを、
回路部位112に2つの青色発光ダイオードと2つの赤色発光ダイオードを用います。
これらのうち1つを除き、ツェナーダイオードに置き換えることも可能で、
1つでも発光ダイオードが残っていれば、満充電を目視確認できます。
切断時は、発光ダイオードの点灯のため、10mA程度の自己消費電流を消費しますが、
太陽電池と蓄電池が切断され、
使い道のなくなった電流が消費されているに過ぎないので、
実質的な消費電流とみなす必要はないと考えます。
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路の消費電流(5uA)は、非切断時の最大消費電流とお考えください。
10.NMOSFETを用いる場合の独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の概要
当方で開発した独立電源システム向け過充電防止回路は、NMOSFETを用いても製作することができます。
NMOSFETを用いる場合は、バイポーラトランジスタにNPNタイプを用います。
NMOSFETを用いる場合、MOSFETの抵抗を小さくできるというメリットがあります。
11.独立電源システム向け第1世代過放電防止回路の概要
当方では、独立電源システム向け過放電防止回路も開発いたしました。
動作原理は、独立電源システム向け過充電防止回路とほぼ同じです。
消費電流は、約30uA(マイクロアンペア)です。
12.NMOSFETを用いる場合の独立電源システム向け第1世代過充電防止回路の技術
NMOSFETを用いる場合の独立電源システム向け過充電防止回路の技術を紹介いたします。
図3を参照してください。
発電系のプラスマイナス端子間の電圧が一定電圧値を超えると
ダイオード群を含む回路部位121に流れる電流が一定値を超え、
ノード126の電位が一定値を下回り、
NMOSトランジスタ125-2はソースドレイン間の抵抗が一定値を超えます。
発電系のプラスおよびマイナスの端子に太陽電池を接続した場合などは、
このとき、発電系のプラスマイナス端子間の電圧がまずます上昇し、
NMOSトランジスタ125-2はソースドレイン間の抵抗がますます上昇するという正帰還がかかります。
そのため、発電系のプラスマイナス端子間の電圧は一気に上昇し、
NMOSトランジスタ125-2は完全にオフになります。
こうなることにより、
発電系のプラスマイナス端子間の電圧が一定電圧値を超えるとNMOSトランジスタ125-2がオフし、
第1の実施の形態と同様に、蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧を一定電圧値以上に上げない機能が実現します。

図3
13.独立電源システム向け第1世代過放電防止回路の技術
独立電源システム向け過放電防止回路の技術を紹介いたします。
図4を参照してください。
発電系のプラスマイナス端子間の電圧によりダイオード群を含む回路部位131に流れる電流が決まります。
ダイオード群を含む回路部位131に流れる電流は、電流が流れ始める電圧付近において、
両端にかかる電圧に対して指数関数的に増大します。
そして、回路部位131に流れる電流を、PNP型バイポーラトランジスタ134で増幅およびコピーし、
抵抗器133に流して受けることにより、
ダイオード群を含む回路部位131に流れる電流に比例した電圧を抵抗器133の両端に作り出します。
その電圧により決まるノード136の電位によりPMOSトランジスタ137が駆動され、
PMOSトランジスタ137が流す電流と抵抗器138によって、
ノード136の電位をノード139の電位に反転増幅します。
ノード139の電位によってPMOSトランジスタ135-2が制御されるので、
ダイオード群を含む回路部位131に流れる電流が少なくなるほど
PMOSトランジスタ135-2はソースドレイン間の抵抗を上げることになります。
蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧が一定電圧値を下回ると
ダイオード群を含む回路部位131に流れる電流が一定値を下回り、
ノード136の電位が一定値を下回り、ノード139の電位が一定値を超え、
PMOSトランジスタ135-2はソースドレイン間の抵抗が一定値を超えます。
PMOSトランジスタ137および抵抗器138による増幅段により、
蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧の僅かな減少により
PMOSトランジスタ135-2のソースドレイン間の抵抗を大幅に上昇させることができます。
このことにより、蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧が一定値以下になると出力系と蓄電系を切り離すことにより、
蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧を一定値以下に下げない機能が実現すします。
過充電防止回路の場合と異なり正帰還はかからないため、
蓄電系のプラスマイナス端子間の電圧の僅かな減少により
PMOSトランジスタ135のソースドレイン間の抵抗を大幅に上昇させるため、
PMOSトランジスタ137および抵抗器138による増幅段が必要なのです。
消費電流は、数十μA(マイクロアンペア)程度に抑えることができます。
このようなことが可能になる本質的理由は、
ダイオードは電流が流れ始める付近の両端の電圧において、
両端にかかる電圧に対して指数関数的に電流量が増大することを用いているため、
複雑な増幅回路が不要で、また、
直列接続されるダイオードの個数や各ダイオードの閾値によりダイオードに流れる電流を調整し、
少なく抑えることができることによります。
尚、発電系と蓄電系を切り離すかどうかを決める一定電圧値は、
直列接続されるダイオードの個数や各ダイオードの閾値および、
抵抗器133の抵抗値などにより調整することができます。

図4
独立電源システムと過充電防止回路のChariot Lab.のページ-トップに戻る